魔法が支配する世界なので、さぞやファンタジックなのだろうと思っていたが、D5原液彼が生前住んでいた国と雰囲気は殆ど変わりが無かった。地面はしっかりと舗装されているし、少し離れた場所には市街地と、ビルらしき物も存在している。ぱっと見て違っている点といえば、電柱が全く存在しないことと、遥か遠方を我が物顔で飛ぶ、竜の群れくらいだった。

「竜……絶対強者か」

 老人の肉体の記憶を掘り返しつつ、彼はそう呟いた、かつての世界では、人間は何十億人も繁殖し、己の星の支配者だった。しかし、この世界の人間はそうではない。竜、魔獣、大海獣、果ては不死者に至るまで、ありとあらゆる脅威に晒されている。そんな高等種族らの機嫌を伺い、生態系の合間を縫いながら、人間はこそこそと生存権を得ているのだ。

 源蔵がそんな事を考えていると、一匹の竜が疾風の如く遥か上空を通過した、圧倒的な高みから下等種族を見下すように、竜は源蔵をちらりと一瞥すると、そのまま人類未踏の原生林へと飛び立った。源蔵は多少の威嚇を籠めて一睨みすると、街の方へと歩みを進めた。
源蔵はありったけの貯金を下ろすと、繁華街の片隅のとある学校へと足を向けた。ここは人間の数少ない武器である魔術を洗き、竜や多種族に対抗するエキスパートを育てる機関、早い話が戦闘用の魔法学校だ。それほど綺麗とは言えない建物の中で、受付嬢が気だるそうに座っていたが、源蔵の姿を確認すると、慌てて前へと向き直った。

「この学校へ編入したいんだが」
「はい。では、お孫さんのお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 受付嬢は営業スマイルで源蔵に話しかける。やはりな、と源蔵は内心で舌打ちしたが、これはある程度予想した対応だったので、こちらも落ち着いた態度を崩さずに答えた。D5原液

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